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オカルト妄想少年を大人たちが甘やかす話 主要登場人物が全員変 『天気の子』51点

雨の東京がキラキラして見える美術が素晴らしい。
廃ビルの階段と合わせて、『言の葉の庭』を思い出した。
また、今作には『君の名は』の二人も出てきて、そのへんも得した気分。
監督は最後は賛否両論あるかも、と言っているとのことだが、最後はあれが正解だろう。納得できる選択だった。

 

でも、気に入ったのはそれくらい。
むちゃくちゃなファンタジーを絵と音楽で強引につないでいくあたりは前回と同じだが、今回は全然面白くなかった。
なぜだろうか。理由を自問自答してみると、要は主人公について行けないのだ。
15歳ってあんなに馬鹿か? 思春期を勘違いしてないか? というクエスチョンマークが終始頭から離れなかった。
主人公の男の子の精神、相当ゆがんでいると思うけどなあ。

逮捕されて意味不明なことをつぶやき、脱走。その後は、廃ビルで銃を持って警官と渡り合うわけだが、あのあたりはどこまでこの映画の中身を信じれば良いのか疑うレベルだった。

あと、水没してマンションに移ったおばあちゃん、「昔に戻っただけなのかも・・・って思ったりもするけれど」って、物わかり良すぎるやろ。

 

そもそも、離島から東京に出てきた家出少年という設定に冷める。
尺の関係があったのか、二人の両親の存在が完全に消されているのが気になった。

いや、それは設定で消してるんだっていうだろうけれど、自分の物語を展開するために、ボコボコと親とか子どもを殺した上で物語を初めて「感動できる話」を展開していくのって、なんか納得できない。主要人物がみな喪失感を抱えてるっていう設定にしたかったのか。孤児(的な)境遇は主人公の設定としては王道だから仕方ないとしても、ヒロインと小栗旬が声を宛ててる人の家族まで殺さなくても。

子どもの貧困うんぬんという議論を呼んだが、あれは自ら選んでいる(銃を撃って、警察から逃げている)わけで、現代社会の構造の問題ではない。だから貧困とは言わないと思うけれど、どうなんでしょう、自信ないですが、やや違和感。


とにかくむちゃくちゃで、この脚本で「よし、作品ができた」と思えるこの監督は、相当に変な人なんだなと改めて思った。

繰り返しになるが、絵と音だけはほんと素晴らしいと思いました!!

そういえば、感動させたいところで二人に空を飛ばせたり、でっかい雲を見せてみたりと、宮崎駿を思い出しながら見た場面もあった。
宮崎駿の新作が観たいなあ。。。