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こういう映画をもっとみたい 『レディ・バード』 91点

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ごくたまに、「タイムマシンがあれば、自分の父親や母親が若い頃に戻って、両親がそれぞれ初めて車に乗ったり、お酒を飲んだりしている、その瞬間を見てみたい」と思うのだが、映画の最後の場面で、いつもより強くそう思った。
初めて免許を取った主人公と、現在の母親が重なる場面だ。
青春物語としてレベルが高いと思って見ていただけに、親の気持ちも上手に掘り下げるラスト10分くらいが意外な喜びだった。

カリフォルニア州サクラメントにあるカトリック系の高校に通う17歳の主人公が「レディ・バード」。
クリスティーンという本名だが、「レディ・バード」を自称して、周囲にもそう呼ぶようにアピールする。
そんな彼女の、いわゆる「イタい」思春期を丁寧に追うところに、この映画の特徴がある。
最後、NYからの電話で、彼女はもう「レディ・バード」を自称しない、そこに彼女の成長がわかりやすく刻印されていた。
細々とした日常生活の描写が素晴らしく、同じく田舎生まれの自分にも思い当たるところがあった。
そうした「イタさ」はいろんな人が指摘してるだろうから、ここでは別の視点からこの映画を称えておきたい。


それは、「レディ・バード」の家族だ。

レディ・バード」の家には、両親と兄とその恋人、そして彼女の五人が住んでいる。
兄はアジア系で、両親とは顔立ちがまるで違うから、おそらくは養子なのだろうと思う(そのあたりをいちいち説明しないのがよい)。
映画の最後、母親が破り捨てた書きかけの手紙を、NYのレディ・バードが読む場面がある。
手紙には「もう妊娠を諦めていたときにあなたを身ごもって・・・」という一節があった。
なるほど、そういう経緯があり、両親は養子をとったのかな、と推測した。
その兄だけでなく、兄の彼女(彼女の背景も、多くは語られないが、親に捨てられたとつぶやいていた)をも、家に住ませてあげている。
思春期の「イタさ」を緻密に描くためには、それを受け止める家族をしっかりと描く必要があるのだな、と感心した。

 

ちなみに、最初の方で、車の中で『怒りの葡萄』の朗読テープを聴いている場面があった。母親が感動していたのはわかるが、助手席の娘も泣いていた。あれは朗読内容に感動して泣いていたのだろうか。それなら、よい親子だし、通じ合う感性を持っているということが、見事に表現できていると思う。