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世間の高評価に納得 『シェイプオブウォーター』91点

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幼少期に声帯を切られた上に捨てられた中年女性と、研究用にアマゾンから連れてこられた「魚人(?)」の恋の物語。
冒頭の数分、主人公の日々が「同じことの繰り返し」であることが端的に示されている。いつもと同じ時間に起き、風呂に入り、同じバスにのり、同じ仕事をする・・・
ある意味では「さえない日々」だし、別の意味では「それなりに上手くやっている日々」でもあるが、そうした毎日を劇的に変えたのが、「魚人」の存在だ。

主人公は研究施設の清掃係として、「魚人」と出会う。
「魚人」もまた言葉を話すことはできないが、ジェスチャーで次第に意思疎通が可能になってくる。

「魚人」の造形は、仮面ライダーの敵役のようにスーツアクターが中に入っている「怪人」で、人間のような形をしてはいるものの明らかに人間ではない。
主人公はこの「魚人」と恋をして、セックスまでするのだが、よくよく考えるとちょっと怖い。
しかし、この映画は、二人(?)の恋愛を説得的に描くことに成功している。
なぜ成功したのか、それは脇役たちの存在があるからだ。

重要な脇役は四名。
一人目は、主人公の同僚清掃員である黒人女性(口を開けば愚痴ばかりだが、それも愛嬌があった。旦那がビミョー)。
二人目は、主人公の隣人の初老の画家(広告用の絵画を描いて糊口を凌いでいる。おそらくゲイ)。
三人目は、研究者で実はロシアのスパイの男(祖国に違和感を覚えている)。
最後に「電気棒男」。
この四名もまた、主人公と同じく、実は「ある意味ではさえない日々を送り、別の意味ではそれなりに上手くやっている」人たちである。
笑えて切ないのは「電気棒男」。

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朝鮮戦争経験者で、そのときの上官のもとでいまも働いている。
上官に認められることだけを考えて自分を奮い立たせ、家では「理想の夫・父親」を演じ、職場では「パワー・オブ・ポジティブシンキング」という自己啓発書を読んでいる。なんというか、フツーと言えばフツーだし、いまの生活に不満があるわけじゃないが、でも何か満たされないものを感じている・・・というサラリーマンとして描かれている。指は腐ってきて臭いし、買った車はぶつけられるし、、、もうさんざん。

だからこそ、電気棒による拷問などの残虐性にも、妙なリアリティがあった。ああ、これで何かを発散しているのだなあ・・・という感じ。だから、彼の最後は悲しかった。もちろん、彼がやっていることはサイテーで、その点は言い逃れできないが、それでも忘れがたい人物だ。

研究施設から逃がしたあと、主人公の家にかくまうのだが、この共同生活の辺りから映画がどんどん楽しくなる。

猫を食べたりするけど、でも楽しい。でもいつかは「魚人」を逃がさなければならないため、長くは続かないことも分かっている。

そういう状況で、バスルームが海になる。

おそらく誰もが心に残ったであろうあの場面、「あり得ないけどありそう」で、ちょっとした工夫で「日常が非日常に!」という感じがとても良かった。

画面がもつ力を感じた。
皮肉を効かせたコミカルな描写、わりとストレートな性描写もあわせて、大人の童話という感じか。世間の高評価に納得です。