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帯に短し襷に長し 『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』65点

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原題はrenegade
どういう意味かと調べたら、裏切り者とか背教者とかいう意味だった。
このタイトルは映画の趣旨とはややズレているように思ったので、邦題で工夫しようとしたのは頷ける。
しかし、なんともフツーな邦題だという感じは否めない。
そして実際、映画の内容も邦題に劣らずなんともフツーなのだった。

金塊をめぐる歴史の絡ませ方、金塊の奪い方、緊張の作り方など、非常によく練られた脚本だが、目新しさは全くない。
秀才タイプの監督と脚本家で、きっとテレビシリーズものなどを手がけると手腕を発揮するスタッフなのではないか。
そう、なんだかテレビっぽいのだ。
なぜだろう・・・と考えたが、一つは華がないということだろうか。
スクリーンの大画面で見るには、俳優たちに個性を感じなかった。
それは単に俳優の顔だけではなくて、脚本上でも登場人物たちの個性が薄かったと思う。
主人公は子どもを交通事故で亡くしていて・・・みたいな設定が後半で語られるが、別にそれがストーリーにからむわけでもないし。

旧ユーゴの紛争に入った米軍の話で、時代は1995年なのだが、別に脚本でそれが深められるわけでもない。
いつの時代のどこの国を舞台にしても成立する話で、そのあたりも「まあ上手に作ってるけど・・・それ以上のなにかはないよな」という不満を持った。

にもかかわらず65点という評価を下したのは、いつ誰が見ても60点くらいの評価を得られるモスバーガー的な普遍性(マクドとは言わない)があるというのが、面白いと思ったからだ。面白くないけど、上手に作られたアクション・アドベンチャーって、もっとたくさんあっても良いように思う。

この映画は、フランスとドイツの合作で、にもかかわらず主人公たちをアメリカ人に設定している点も興味深かった。
映画のなかでステレオタイプ化されたアメリカ人を描くのは、別にアメリカ映画の特権じゃないということを思い知ることができた。
それもやはり普遍的な「浅さ」だろう(浅いとか言うとネガティブに捉えられるかもしれないが、ポジティブに評価しています)。

製作と脚本にリュックベッソンの名前があって、それもなんだか意外だった。
一時期熱心に祭り上げられていたリュックベッソンだが、まだ生きてたのかというのが正直な感想。広末が出てたWASABI(ワサビ!!!)のプロモーションで来日した映像を見て以来、久しぶりに彼を意識した。
リュックベッソン映画作家として才能がないのは明らかだが、名前があるので馬鹿から金を集めることはできるだろうし、面白くないが形の整った脚本も書けるようだから、是非とも「現場に口を出さないプロデューサー」として、熱意ある人びとにチャンスをあげて欲しいと願う。

ちなみに、この前の『ブレードランナー』に「ラブ」役で出てた女優さん(海辺でゴズリングと殴り合い)が、笑顔が素敵なヒロイン役で出ている。笑顔が素敵でした。