ダークヒーロー系映画の良作 『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』71点

日本のアニメから着想を得たイタリア映画ということで、気になっていたが、ようやく観ることができた。
上映前の館内にはアニメ主題歌が流れていて、いい感じ。

主人公が住む町は30年前くらいにできた郊外のニュータウン的な場所だ(名前は忘れた)。
主人公は早くに親を亡くし、10代前半からヤンキー仲間と非行を繰り返してきた。
その仲間たちも、犯罪などに巻き込まれて死んで行き、いまは主人公は一人ぼっちだ。
単独で軽犯罪を繰り返し、盗品をマフィアの下っ端に売って食いつないでいる。郊外の若者の貧困と劣悪な環境を(わりと類型的ではあるものの)しっかりと描こうという意図が伝わってきた。


さて、超人的パワーを身につけた主人公が最初に行うのは、ATM強盗。
次にやるのは、マフィアが狙っている輸送中の現金を、マフィアの眼の前で強奪するというミッション。
この時点では、まっすぐなクズ。
こういう生活の中で、主人公がある女性の世話をするはめになり、その女性との交流のなかで「正義」に目覚めていく過程を、丁寧に描いている。

 

ダークヒーロー映画と言えると思うが、どうしようもない街のどうしようもない人間たちの、丁寧な描写に共感を持った。

特に主人公の部屋の汚い感じが上手だった。
机にも床にも、シケモクだらけの灰皿がある。
アダルトDVDが散乱した床。
数年洗ってないのではないかというシーツ。
食べ物がろくにはいってない冷蔵庫。
ヒロイン役もなんか汚い感じで、それも良かった。
主人公もヒロインも、いわゆる「美男美女」ではなく、それがリアリティをかもしだしていたと思う。この二人が心を通わせる、遊園地の観覧車の場面は、忘れがたい。

主人公が超人的パワーを身につけるきっかけは、放射性廃棄物による被曝であり、昔からよくあるパターンだが、敵もまた同じ場所でパワーを身につけるというのが面白かった。

気になったのは、悪役のチープさと、ビミョーなグロテスク描写。わりとあっけないラスト。
ここをどうにかしていたら、もう少し面白くなったのではないか。
敵をもっと悪く、強くして、その敵とのラストバトルの際に、あのマスクをかぶるような脚本なら、より熱くなれたのではないかと思うが、どうだろう。

最後に一点。

最後の時限爆弾演出、あれはもうやめてくれ。ほんとに。

全世界の映画監督・脚本家のみなさま、のこり○○秒!!とかの時限爆弾で緊迫感を出す最も安易な演出だと思いますよ。

 

永井豪ダイナミックプロによる原作アニメは観たことがないし、これからも観ることもないだろうけれど、設定とかは気になったので、すこし調べてみようかな。