変な映画 『ハクソー・リッジ』 74点

沖縄戦が描かれると知って、観に行った。

宗教上の理由で良心的兵役拒否者になることを選んだが、パールハーバー後に愛国心から志願して兵士になった主人公。しかし、武器は持たず、衛生兵として仲間を助けることで戦争に参加する。
実話とのことで、「信念を貫いたんだなあ」と感心したが、ここでは映画のなかで描かれた主人公について述べる。
この主人公、自らが暴力の主体になることを過剰に避けるのだが、戦争そのものを否定するわけではない。あくまで個人的な信条として「自分は武器を持たない」ことを貫くわけだ。
これは徹底した個人主義で、隣で見方が撃っても、撃たれても、その暴力についてはあるがままに受け入れ、ただただ目の前の人を治療するのである。主人公は、たとえば国家や軍隊について、疑問をもったりはしない。過酷ないじめにあっても、不条理にあっても、(もちろんそれなりの葛藤は描かれるが)聖者のようにそれを受け入れてしまう。、
そのせいだろうか。映画を観ていると、戦争というよりも、なんだか過酷な天災・あるいはSF的な地獄状況を見ているような、変な気持ちになった。

戦場の場面はさすがに圧巻で、時間が短く感じたほどだが、その対比で、前半の恋愛の場面が退屈だった。最初から最後までずっと戦場を映してくれたら、より「エンターテイメント」として上質になったのではないか。あえて「エンターテイメント」という言葉を使うのは、前述のように、主人公の徹底した個人主義とその背景にある愛国心のせいで、「戦争映画」として観られなかったからだ。

前半部の恋愛の場面は、ひたすら退屈。出会いの「一目惚れ感」はダサいし、その後のアプローチも変だった。ただし、「あ、この主人公はちょっと変な人なんだな」というのはよくわかったので、それは良かったのかもしれない。

一緒に苦労した仲間が死んでいく・・・という話は、やっぱり面白いのだが、「戦争」を描いているのに、戦争という感じはしなかった。あと、取って付けたような日本兵描写にも注目。

上映後、公式サイトを観た。
公式サイトには、必ず「コメント」欄に著名人の推薦コメントが載っているが、あれを読むと、コメントを寄せている著名人が全員頭悪く見えるし、読むほうもげんなりするから、ああいうのやめたらいいと思う。もちろん、それを承知でコメントを寄せているんだろうし、断り辛いのかもしれないから、「頭悪い」とか言うのは良くないとは思うのだが・・・。しかし、それでもあんまりである。
「お前ほんまに映画観た? 寝てた?」というのもあって、それはそれで面白いと、楽しむべきなのだろう。
でも、やっぱり、それよりはパンフレットに載っている長めの解説の半分くらいを載せて、「続きはパンフレットで」というほうが、まだ読みごたえがあると思うけどな。