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画面がゴチャゴチャしてて、うるさい 『ゴーストインザシェル』43点

原作マンガは読んでいないが、押井守のアニメーションは観たことがある(記憶はあやふやだけど)。
アニメーションに忠実な実写映画だと思った。
原作マンガ(アニメーション)を実写化すると、ファンを含めて「これは違う!」というような異論が噴出するが、この作品はどうだろう。忠実に映像化しすぎて、なんか変なところもあった。
全体的に、「画面の座りが悪い」というか、絵として定まっていないという感じがするのだ。

香港を思わせるネオン街、ホログラムの巨大広告や街にたむろするサイボーグたち。
未来の猥雑さを一生懸命細かく作ったんだろうけれど、作り込み過ぎ!
観客としては視点が散って集中できない。
他方で、アクションシーンの作り込みは全然たいしたことなくて、派手な音でごまかされた感じがする。
ゴチャゴチャしてて、何がどうなってるのかよくわからない。
最後のバトルシーンでは、主人公の動きがあきらかにカクカクしてる瞬間があった。

スカーレット・ヨハンソンの顔と身体、動きにも違和感があった。彼女は人間離れしたものを演じることが多いようで、それもあってのキャスティングなのだろうが、動きが変だ。脳以外は機械なわけだから、違和感があって当然なのだし、私が「違和感」を持ったのも織り込み済で、あれはすべて演出なのかもしれないけれど、やはり気になるものは気になる。

あの肌色のボディスーツも、なんかダサい。アニメの方がかっこよかったかな。

「過去の記憶(何をしてきたか)じゃなくて、現在(いま何をするか)が、あなたを決めるのよ!(だからあなたは人間なのよ、大丈夫なのよ!)」みたいなメッセージが何回か繰り返される。
それは確かにそうだが、アイデンティティは過去と現在の統一性だと思うので、「何をするのかがあなたを決めるの」と言われても、それは筋違いではないか。もっとも、桃井かおりと「再会」して、記憶の手がかりを得るのだが。しかし、明らかに中国だとわかるハチの巣のようなマンションの一室に、日本のひな人形などが飾ってあると、繰り返しになるが、違和感を禁じ得ない。
話を戻すと、過去にとらわれることはない!というメッセージは、アジアの一都市を舞台にしているが無国籍性の強いこの映画のなかでは、「アメリカ性」が突出している気もした。
これから「何か」になっていこう!というようなbecomingな心性が、よくもわるくも強い。 

たけしの活舌が悪すぎるので-10点

桃井かおりが意外だったので+5点