ドクター・ストレンジ 7点

僕がこれまで映画館で観てきた作品は、これに較べたらとてもレベルが高いのだなあと思わせてくれた。これまで観てきた映画に心から感謝できる、とてもすてきな作品だった。
迷っている人は観ない方がいいと思う。

開始2分くらいでヤバい雰囲気プンプン。
天才外科医の主人公による手術の場面から始まる。
俺天才だからこれくらい余裕~、という感じで、ipodから流れる音楽に軽くノリながら手術する主人公。
手術室で音楽が鳴り、医者たちに笑顔がこぼれ、なんとなく楽しそう、という時点でイヤだった。その上、手術室で音楽クイズみたいなことも始める始末。
多くの観客は「こいつらみたいに手を抜く医者に手術してほしくないな」と思うんじゃないだろうか。
ここで、
「あ、リアリティーのラインを随分と下げてみなければならないのだな」
と覚悟した。
「これはマンガなんだ。これは少年マンガ。そう思って観よう」
決めて椅子に座り直した。

イラっとする天才外科医は不注意な事故で両手の機能をほとんど失う。
リハビリでなんとか生活できるレベルには戻るも、現代医学ではこれ以上の回復はないとわかり絶望する。そこで、ネパールのカトマンズに渡って、謎の組織による一種の魔術を授けられる。
この謎の組織での修行の場面が、長くてツマラナイ。

主人公は、当たり前だが、最初、魔術的世界の存在を信じない。
そこで、師匠役の丸坊主の女性が、魔術を信じさせるために主人公を精神世界に送る。
その精神世界の造形が、ダサすぎる。
発想が70年代的というか、サイケな感じを出したいのかもしれないが、面白くない。
主人公は修行中にいろいろと本を読むが、本を取るときや頁をめくるときの手の動きをみていると「手術は無理でも、十分生活できるのでは??」
という気持ちになる。
そもそも、かなり早い段階で主人公が事故を起こして手の機能を失うため、彼の医者としての矜持が全く伝わらない(彼の手術シーンは前述のような不愉快なイメージしか残らない)。

まあそれでも、戦闘シーンが面白かったらいいか~、と思っていたが、これもひどい。
この映画の売りである『インセプション』的映像は、撮り方が悪いので壮大な感じがせず、ちまちまCGを使ってるなあ・・・という感じしかしない。
格闘シーンも、ごちゃごちゃして動きが把握しずらいし、ようやく盛り上がり始めたら、なんか急に登場人物たちが議論を始めたり、コメディっぽい間(マ)があったりと、テンポがとても悪い。
ラスボスみたいなやつは、造形がひどいし、結局馬鹿みたいな「交渉」で解決してしまう・・・(ここも相当ひどい。映画館では笑い声が起こったが、それは失笑であろう)。
脇役全員に魅力がないのも悲しい。

悲しくて、帰りたくて、脳内に『悲しい色やね』の「逃げたらあかん 逃げたら」が流れたのだった。

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監督・脚本は同じ人物だが、この人は完成したフィルムを通して観たのだろうか?
観ているはずだが、なぜこれでOKを出せたのだろうか?
製作会議や現場で、誰かが「はいっ!意見があります、この演出は変だと思います!」と言えなかったのだろうか?

言っても無視されたのか。
不思議である。

プロたちがお金と時間をかけて作った作品をけなすのは、失礼だとは思うが、完璧な駄作を観た。
続編をつくる気マンマンっぽいが、やめたほうがいいと思う。

悪口ばかりになってしまったけれど、悪口のほうが楽しいし、結局のところ、いろいろ言いたくなる映画だったわけで、その意味では「7点」というのは低すぎるかなと自問自答した。しかし、自問自答しても、100点満点の7点である。