『アイ・イン・ザ・スカイ』 78点

戦争の現在地を鋭く捉えた映画、ということになるだろう。

 

ケニアの過激派テロ組織が、新たな自爆テロを計画している。
この組織のメンバーにはイギリス人やアメリカ人もおり、どうやら世界中から「兵士」をリクルートしているようだ(明らかにISを想定している)。
長年この組織を追いかけてきたイギリス軍だが、その監視の仕方がとても現代的だ。
アメリカ軍とイギリス軍は、上空のドローンから敵を監視する。ケニアの現地部隊はハイテク機器(あの虫型の移動カメラは実在するのか?)で室内までも見通すことができる。
その映像を、ロンドン、ハワイ、ラスベガスで政府高官や軍人たちが見守っている。

標的となるテロ集団をドローンから攻撃する予定だったが、アジトの近くにはパンを売る少女がおり、いま攻撃すると少女を巻き込みかねない。

かといって、攻撃を延期すれば、自爆テロにより多数の市民が死傷する可能性がある。
どちらを選ぶべきなのか・・・というある意味ではよくある問いで、観客を引っ張るのである。

僕はこういう「究極の選択」系で観客や読者を引っ張る手法をあまり好まない。
答えは「わからない」し、そんな選択を個人ができるわけもないと思うからだ。
そういう選択を突き付けられても、「いや、そうならないために努力しましょうよ」としか言えないが、そう答えると「逃げだ」「無責任だ」とか言われそうな気がする。
でも、人を殺した「責任」なんか、誰がどうやってとるのか。
戦争映画に出てくる「真顔で決断を迫ってくる軍人」という表象にはげんなりさせられるが、今回の映画もそうだった。

話を映画に戻すと、最も興味深いのは、ラスベガスの米軍基地でドローンを操縦する若者二人の描写だった。
コンテナのような狭い空間で、モニターを凝視し、極度の緊張を強いられる若者たちの表情をみていると、現代の戦争においても、兵士は加害者であると同時に被害者なのだなと感じた。

一応の主人公が女性軍人というのも「現代的」なのだろうか。


真摯な問いを投げかける軍事サスペンスで、「ドローンの戦争」というひと昔前ならばSF的でさえあるようなテーマを描き切った力作、と評価したいところだが、そう言いきるには、モヤモヤが残る映画だった。

でも、考えてみれば、こうしたモヤモヤが残るということ自体、最近観た映画では珍しく、それはそれで得難い経験だった。