「デッカード」はユニクロっぽいTシャツを着るか? 『ブレードランナー 2049』68点

宣伝の段階では全く期待していなかった。ポスターがダサかったからだ(ハリソン・フォードが着てる服がユニクロにしかみえない)。 ムツカシイことを言うのが好きな人は、「人間とは何なのか? レプリカントを通して問いかけている」とか言いそうだが、それ…

CIAはデウス・エクス・マキナか 『アトミック・ブロンド』54点

シャーリーズ・セロンは綺麗で強く、音楽はかっこいい。映画のなかのニュースで、音楽の話題として「サンプリングの是非」のコーナーがあったが、わざわざそんなニュースをピックアップするあたりが憎い。個性的なスパイたちが騙し、騙され・・・的な展開も…

もっとバカになれ! 『バリー・シール/アメリカをはめた男』 54点

監督と主演が『オール・ユー・ニード・イズ・キル』と同じだと言うことで気になっていた。要は、CIAとコロンビアの麻薬組織にうまく使われて(自分ではうまく両者を使いこなしたと思い続けて)、最後は殺された犯罪者の「事実に基づいた物語」(BY戸田奈津子…

B級映画の最高峰(ただし映画館で観るべし) 『新感染』93点

移動し続けている映画は、それだけでなんかワクワク。『マッドマックス 怒りのデスロード』は車で、ポンジュノの『スノーピアサー』は電車で、ほぼずっと移動していたから、あんなに良い映画になったのだと信じて疑わない私である。思えば、中上健次はどこか…

福山と役所の顔 『三度目の殺人』72点

退屈な絵が続いたが、さすがは福山雅治と役所広司。福山は顔が写るだけでなんとか映画を引っ張っていくし、役所広司も「あ、こいつ危ないかも」と「ものすごく考えてる人なのかも」の中間をいく演技が見事だった。是枝監督は、映画のなかで数回、これ見よが…

ダークヒーロー系映画の良作 『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』71点

日本のアニメから着想を得たイタリア映画ということで、気になっていたが、ようやく観ることができた。上映前の館内にはアニメ主題歌が流れていて、いい感じ。 主人公が住む町は30年前くらいにできた郊外のニュータウン的な場所だ(名前は忘れた)。主人公…

今年1番 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』94点

ネット上で、監督が本作の結末を「ハッピアー・エンド」と呼んでいた。 強引な「ハッピー・エンド」ではなく、冒頭と比べると少しだけ幸せになっている、という意味だろう。とってつけたような完全無欠の幸福は、夢でしかない。夢を振りまく映画のなかにも、…

フツーすぎる。監督の力量不足。 『ライフ』54点

前情報でエイリアン映画だと知り、観に行く気持ちになった。 「密室」である宇宙ステーションでの人間VSエイリアン。もちろんハラハラ・ドキドキするだろうし、それも楽しみなのだが、ジャンル映画ならではの楽しみ方というものある。 今回は、次のようなこ…

『ひるね姫』よりはマシ 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』28点

前作はDVDで観て、楽しかったんです。 音楽の使い方が上手で、バカっぽい演出も楽しく、肩の力を抜いてみることができるエンターテイメントとして、それなりに良い思い出になってるんですよね。いやあ、ほんとうに、いい映画でしたね。 で、今回のリミックス…

上半期の収穫 『22年目の告白』 81点

気分転換になるような、ボーっと眺めるような映画がいいなあ・・・ と思って、ほとんど情報がないまま映画館へ。なんか思った以上に若い人が多くて、「あれ、間違ったかも」と早くも焦り気味。「そういえば、俺は藤原竜也がいい感じで映っているのを見たこと…

変な映画 『ハクソー・リッジ』 74点

沖縄戦が描かれると知って、観に行った。 宗教上の理由で良心的兵役拒否者になることを選んだが、パールハーバー後に愛国心から志願して兵士になった主人公。しかし、武器は持たず、衛生兵として仲間を助けることで戦争に参加する。実話とのことで、「信念を…

円環の言葉と時間 『メッセージ』66点

最近なにかと忙しく、映画館に行く気になれなかった。 しかし、気分転換には映画が一番。携帯も切るし、余計なことは考えなくていい。 ということで、黒くて長くてデカい物体が浮いてるというヴィジュアルが強烈な『メッセージ』を観てきた(現代のアライバ…

野心作だが、やや冗長、とても散漫 『バンコクナイツ』61点

富田監督の『国道20号線』は忘れがたい名作。その後の『サウダーヂ』は見逃してしまい、残念な思いをしたので、今回の『バンコクナイツ』は期待して行った。勝手に期待していただけなのだが、ちょっとキツかった・・・ 娼婦・貧困・植民地・ベトナム戦争・ク…

画面がゴチャゴチャしてて、うるさい 『ゴーストインザシェル』43点

原作マンガは読んでいないが、押井守のアニメーションは観たことがある(記憶はあやふやだけど)。アニメーションに忠実な実写映画だと思った。原作マンガ(アニメーション)を実写化すると、ファンを含めて「これは違う!」というような異論が噴出するが、…

そもそも巨大なゴリラという発想に乗れない 『キング・コング 髑髏島の巨神』51点

『ゴジラ(2014年のほう)』が好きだったので、同じシリーズときいて楽しみにしていたが、フツー。同じ監督だと思ってたら、違ったし。 あらためて2014年の『ゴジラ』の面白さに気づかされた。そもそも、ゴジラは作品ごとにゴジラの形状が大きく変わるので、…

女が男をボコるシーンがもっと見たかった 『パッセンジャー』56点

宣伝で観たときは、宇宙船のなかで二人だけが目覚めてフォーリンラブだと思っていた。そういうのSFでありがちだよね~。藤子・F・不二雄にあったような気がする~。とか思ってたら、全然違った。 クリス・プラットが、ジェニファー・ローレンズを起こすかど…

短編小説のマスターピースのよう 『ムーンライト』83点

ストーリーを要約しても、ほとんど意味がない映画だと思う。 「黒人社会における同性愛を描いた青春純愛映画」としか言いようがないが、そうまとめたところで、この映画の良さは伝わらない。 強度のある物語構造だから、俳優たちが展開する細かい表情やしぐ…

制度はどこまで人を管理するのか 『わたしは、ダニエル・ブレイク』87点

大工の仕事を長年続けてきたダニエルは、心臓発作を起こし、医者から仕事を止められている。 ある日、ダニエルは雇用支援手当の継続のため、電話で審査を受けるが、結果は「就労可能、手当打ち切り」。今度は、「職業安定所」に求職者手当の申請に行く。しか…

象は歌がうまい 『SING』60点

かつては賑わっていたが、今は客が入らず、経営危機にある劇場。この劇場主がコアラだ(年齢不詳)コアラは起死回生のために歌のコンテストを企画。なけなしの金を集めて賞金1000ドルと銘打つつもりが、秘書をしているババアのカメレオン(トカゲ?)のミス…

ひどすぎる映画 『ひるね姫:知らないワタシの物語』3点

絶対に観ない方がいい。 これまでも面白くない映画を観ることはあったが、それでも「あの点がひどいな」と友人と言い合ったりして、それなりに「楽しんで」きた。しかし、『ひるね姫』はひどすぎた。ドクター・ストレンジが今年最低だと思っていたが、レベル…

のぶ代と鉄矢が聴こえない:『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』46点

のぶ代から水田わさびに声が変わってから、はや10年。それでも、心のなかでドラえもんを再生するとき、耳のなかに響くのは、のぶ代の声だ。僕は、のぶ代のことを忘れられないでいる・・・ だからといって、新しいドラえもんに馴染めないかというと、決して…

『ラ・ラ・ランド』74点

開始30分くらいはきつかった。お互い最初は相手のことを「何だよあいつ!」と思っているけれど、何度か偶然会ううちに「・・・あれ、なんか惹かれてる・・・」となる。こういうのはもう何度も何度も観た気がして、嫌な予感がしたのだった(嫌な予感は最終…

王様のためのホログラム 65点

西欧人の主人公(男)が、あるミッションを持って「異文化」に乗り込んでいく。最初は文化の違いに戸惑い、挫折しそうになるが、バディを見つけ(女性のパートナーも見つけ)次第にその土地に溶け込み始める。文化の差を尊重しつつ、共存する方法を見つける…

スノーデン 68点

すっかり忘れていたスノーデン事件。考えてみれば不思議である。アメリカ国家安全保障局(NSA)が、日本の政治エリートや行政機関から、私たち「一般人」にいたるまで、あらゆる人間のネット上での個人情報を、いつでも不法に閲覧する能力を持っており、現に…

ドクター・ストレンジ 7点

僕がこれまで映画館で観てきた作品は、これに較べたらとてもレベルが高いのだなあと思わせてくれた。これまで観てきた映画に心から感謝できる、とてもすてきな作品だった。迷っている人は観ない方がいいと思う。 開始2分くらいでヤバい雰囲気プンプン。天才…

『沈黙』 73点

遠藤周作の原作を読んだとき、迫害を受ける民衆の姿がただただ痛ましく、読むのが辛かった思い出がある。 映画化となれば、当然、拷問の場面を克明に描くことになるのだろう。そう思って観に行ったら、やはりその通り。 荒波に打たれ続ける、藁を巻いて泳げ…

『アイ・イン・ザ・スカイ』 78点

戦争の現在地を鋭く捉えた映画、ということになるだろう。 ケニアの過激派テロ組織が、新たな自爆テロを計画している。この組織のメンバーにはイギリス人やアメリカ人もおり、どうやら世界中から「兵士」をリクルートしているようだ(明らかにISを想定してい…

『マイルス・デイビス 空白の5年間』 76点

ジャズは全然わからないけれど、そのかっこよさに惹かれて、大学の時にいろいろ聴いた。「わからないのにかっこいい」と思えたのはなぜかというと、当時読んでいた中上健次や村上春樹がジャズを褒めていたからだ。一種の「教養」として「勉強」しようとして…

山上たつひこ『ごめん下さい』(双葉社、1984年) 67点

雑誌『スーパーアクション』1983年6月号から84年5月号まで連載されたギャグマンガ。 山上たつひこといえば『がきデカ』で、あの破壊力を期待して読むとどうにも消化不良。ギャグも下ネタも、現実からの乖離度が低く、想定内に収まっている。 老母が垂れた乳…

『この世界の片隅に』 89点

「15年戦争」とか「アジア・太平洋戦争」とかよばれるあの戦争の末期。その時代を想像するとき、私たちは「暗い谷間の時代」として思い起こしがちだ。人びとは、不本意な戦争に「まきこまれ」、それでも不平不満はあからさまに言えず、粛々と国家の滅亡に…